ルドルフ?イッパイアッテナ?…いったい、何のことだろう? タイトルの意味が分かった頃には、きっとあなたもこの世界にハマってる。 約30年読み継がれる良書。大望の映画化決定!2016年夏ロードショー! |
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作 | 斉藤洋 |
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絵 | 杉浦範茂 |
出版 | 講談社 |
初版 | 1987年 |
備考 |
273ページ(漢字ほぼルビ付) 対象は小学校中学年以上 全国学校図書協議会選定図書 日本図書館協会選定図書 |
ルドルフ、イッパイアッテナ?
…いったい、何のことだろう?
…ということで、おおよそ2時間、ルドルフワールドに没頭です。
赤い表紙には、この呪文のようなタイトルと、威張った黒ねこが「でーん!」と一軒家から飛び出し、その後ろにトラねこの絵が描かれます。
勘がよければ、すでに、ここで気が付くのかな?何の情報も持ち合わせず読んだので、タイトルの意味が分かった頃に、その世界にすっかりはまってました
これは、おもしろい♪
この際、自分がネコでもブタでもヒトでも、そんなことは関係ない。
「知恵と冒険と友情の物語(表紙裏より引用)」だ!
感想
※内容に触れていますので、知りたくない方は飛ばしてください。
「人がねこになる」でも、「人がねこに聞いた」でもなく、ねこが書いたお話。
ひょんなことから、知らない場所にたどり着いてしまったルドルフは、遠いところまで来てしまったことは分かるけど、自分のいた場所さえ分からない(知識がない)。
困っているそんな時に、頼り甲斐になるアニキに出会い、そこで生きていくために、なんと人間の使う字を学んでいきます。
P146〜P148より引用
「おまえがな、あんな学級文庫で満足してるから、もっとすごいところがあるってことを、教えてやりたかったのさ。世の中には、ここより、もっともっとすごい場所もある。・・・」
(中略)
ぼくは、ちょっとむっとした。このごろ、ぼくは、ひらがなとかたかなだけ読めれば、それでいいんじゃないかと思いはじめていたところだった。・・・
(中略)
「それからな、ルド。おまえ、このあいだの夜、字が読めないブッチーをからかっていただろう。ああいうことをしてはいけない。おれは、ああいうことをさせるために、おまえに字を教えたんじゃないからな。ちょっとできるようになると、それをつかって、できないやつをばかにするなんて、最低ねこのすることだ。教養のあるねこのやるこっちゃねぇ。」・・・
(中略)
「まあ、いい。始めのうちは、だれでもそうしたがるものさ。・・・」
利口になると、人を見下すような心理が働く…、まるで、自分がエラくなったと勘違いするかのように。
偉くなったからと言って、エラそうな態度を取っていい、というのもまた違うような気もするけど、とにかく!そんな時に、近くにいる者(大人)が優しく知らせるのって、大切なことだな、と気付かされるのです。
今生活している場所から離れて暮らさなければいけない時に、頼れるのは、自分。
知らない土地にたどり着いた時に、何ができ、どう行動するかも、自分。
もちろん出会いに左右されることもあるけれど、その時、もし一歩間違えて、命がなくなってしまうかもしれない…という事態になるってことはそうはないけどそういう場面で、どうアクションを起こせるかも、やっぱり自分次第。
今まで培ってきた知識と経験がすべて?
いえいえ!経験というのは、行った先で0から学ぶということの方が案外多いもの
P171より引用(日の出を見る場面)
そうだ、ああいうふうに、なにがなんでものぼろうとするものは、だれも、おしとどめることはできないんだ。
こうしたい!こうなりたい!と思うことが大事なことで、そう思えられさえすれば、どこだって生きられる
P196より引用
ぼくたちは、半分あきらめ、それでも残りの半分は、まだ望みをすてずに、神社のえんの下に帰った。なにしろ、『絶望は愚かものの答え』なのだから。
いろいろな人が言うことだけど、
失敗して落ち込んで、そこから気付くことがたくさんあることは、自分だって良く知ってる。
ただ、たくさん経験していくと、その大事な感覚を忘れちゃって、良いことよりも、怖い気持ちの方が少し強く残ってしまうんだ。そんな時に、この言葉を思い出してみたいな。
P218より引用
「でもな、ルド。へんな安心がいちばんいけないんだ。いつでも勉強ができるなんて思っていると、けっきょく、勉強しなくなってしまうことが多い。いましかできないと思うと、むりをしても、そのときにやるんだけどな。いつでもできるって思っていると、やらなくなってしまうもんなんだ。・・・」
それじゃあ、今から、何をする?
そう、それも自分次第!!ってこと。
そんな、前向きになれる作品です。
たまには児童書もいかがですか?大人もきっと楽しめます。
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ブー子