2014年, ベルギー・フランス・イタリア, 95分
同僚の復帰か自身のボーナスか??この選択が、様々な家庭の様々な問題を浮き彫りにしていく…
気になる劇中曲
『La Nuit N'en Finit Plus』
「私のように孤独な人はにはひどい世界よ〜」というような歌詞がサンドラの状況と重なります。
感想
主演は、『エディット・ピアフ〜愛の讃歌〜』でも主演も努めオスカーを獲得した演技派女優、マリオン・コティヤールさん。
情緒不安定であったサンドラが休職から復帰しようとしていた矢先、職場で、ボーナスが支給されるかわりに解雇だという連絡が入る。その話の裏では、なんと現場主任が同僚1人ずつに圧力をかけ、票を集めていたことを知る。親身になってくれる仲間の1人と一緒に社長に会うことで、次の月曜日の朝に、もう1度投票し直すチャンスを得ることができたサンドラは、夫と相談し、復帰できるように皆から票を集めようと、同僚16人と連絡をとり「失業はいやだ」と話をすることにする…。
1000ユーロのボーナス(=自分の生活)を選ぶか、それとも、彼女を復帰させるために1票入れるか??
不景気のため、両方は無理だという社長。
ここで引き下がり、解雇されても症状はより悪化しかねない彼女の病状。
かと言ってそのまま、今の状態で働いても、精神的な負担がかかるだけのような…。
同僚にお願いされたら「あなたならどうしますか?」
監督は、映画『ある子供』や『ロゼッタ』で、カンヌ国際映画祭の最も優秀な作品に送られるパルムドールを受賞している、ジャン=ピエール・ダルデンヌ、リュック=ダルデンヌ兄弟。主人公のサンドラだけでなく、彼女に関係してくる全ての人物の心情がズシズシ伝わってきて、1シーン1シーン様々なコトを訴えてくる作品です。
彼らのその他の作品。
→映画『少年と自転車』について書いた記事はこちら
夫婦や子ども、同僚とのリアルなやり取りに、実際に問題が目の前で起こっているような感覚になるので、気が滅入っている時に見るのはオススメできません。
おもしろいっといったらおかしいのですが、映画として、ブー太もブー子も、こんな作品が改めて好きだと感じた1本です。
おまけ
※内容に触れていますので、知りたくない方は飛ばしてください。
ん〜!考えさせられますね、こういうテーマの作品!
どちらかというと、同僚側の立場になって鑑賞してました。
ボーナス1000ユーロもらうか、サンドラを助けるか?
なにせ、サンドラは「職を失ったら困る」と会い来てまで訴えている訳だから、よし聞き入れてあげようではないか!となりそうですが、そういう優しい問題ではないのですよ!
ここからはストーリを追って感想を書きたいと思います。
ボーナスはボーナスで月給とは違うけれど、どの家庭にもリアルな現実・生活というものがある。
サンドラには夫と2人の育ち盛りの子どもがいる。公営住宅を出て新たな生活を始めたばかりなのでしょう。夫の収入だけでは家賃が払えず、暮らしていけなくなるという状況。ちょっと症状が回復したから、復帰できる、しかも、生活レベルを下げたくないという夫は、ある意味協力的だが、ガンガン「頑張れ」って言ってくる。
〜子どもの協力もありながら、住所を調べ、同僚に連絡をし始める〜
誰でもお金(仕事)がなければ、生活するのは困難になるので必要。
ある家庭は、ボーナスは息子の学費にし、ある人は新しい生活が始まったばかりで必要なモノを買う、と言う。
みんながみんな、必死に生きている現状を突き付けられます。
ここで、「本当はモノはなくたっていいいんじゃないの??」という疑問が浮かび、ある作品が思い浮かびました。
→映画『365日のシンプルライフ』について書いた記事はこちら
話を戻しましょう。。。
1000ユーロ
サンドラ「あなたならどうする?」
その質問には答えない夫。
ここで既に、彼女に「頑張れ」と言い続ける夫に、ブー子は疑問を感じ始めます…。
〜車で夫婦で移動中、カーステレオから暗い歌詞の歌が流れる〜
「別れましょ、私たち」と言うサンドラ(「そうだ!それだ!」と思わず賛成してしまったブー子。)
「全てが台無し、今夜は孤独…」という歌詞が見事に彼らの状況と一致し、ますます空気が重くなる。
夫が妻に対し「過保護」と言うが、それがブー子には、なんだか「実は味方のようで、一番近くにいる彼が彼女を苦しめている画」に見えましたよ
家族ってなんでしょう?自分たちが良ければ、いいモノ?
〜1軒1軒まわって同僚に話をする〜
その度に、「誰が一票をいれるのか」とサンドラに聞く同僚。
その時点で、仕事場に残れたとしても、確かに気まずいという事に気が付かされます。
サンドラの「選べと決めたのは私じゃない」という言葉に対し「僕でもない、君がいなくても」と、更に圧力をかけてくる同僚も。。。
夫の言葉で再び「迷惑掛けたくない」と思い悩むサンドラ。(ここでもやっぱり、彼の言動に疑問を感じる)
目の前のまだ手に入ってないお金が原因で、同僚の家族までが言い争う場面を見せられる。そこで、見えてくる様々な家族の姿・本性。物語が1時間程過ぎた辺りで、今度は家族にとって、何が大切なのかを自然と考え始めさせられます。
〜1箱の薬を飲むシーン〜
薬を飲んでも状況は変わらない事なんて自分でも分かっているはずなのに、自信を追い込むサンドラ。先の見えない負のループにもう、こちらまで気が滅入ってしまう…
みんが怖いと思う「主任」のいる会社…。投票は1日だけど、仕事とその状況はその後も続くのよね…。
〜《決戦の月曜日》〜
主任「混乱させて満足か?」
その後、裏で根回したことを、誰かが言った言わないで揉めるシーンに、これまたゲンナリお互い、その場にいたら、必ずいがみ合う人っていますよね…。ん〜〜。復職したらしたで、やっぱり同じコトの繰り返しになってしまうような状況が想像できる。
…という事で、ラストは収まるところに、ひとまず収まったかなという感じで、静か〜に『Fin.』。
おわりに・・・
子どもが道路に飛び出す前に注意をし、子どもの前では泣かないと決めているサンドラという女性。
知り合いが車で送ってくれるという申し出も「自分でバスで行く」と言う程、彼女の本来持つ意思は強い。
うつ病に苦しむ姿を見ていると、彼女の弱さであり、強さであり、優しさであり、意地のような感情がこんがらがってしまっているのが見て取れました。
基本しっかりしているサンドラですから、仕事が本来できるであろう彼女にとって、あの主任とあの社長の下で働くのは難しいと思うのは私だけ??
「自分でも生きてる気がしない」と、薬が落ちただけでも落ち込み、全て「私のせいね」と自分で背負い、泣くばかりだったサンドラ。ラストで彼女が微笑むシーンで、きっと夫にありのままの結果を報告できたのだろう、希望が見えたように感じたと同時に、根底には、やっぱり家庭(夫)の問題も含まれている様な気がして止まないブー子なのでありました。
心に残る台詞
☆あなたならどうする?
印象的なシーン
☆子どもにサッカーを教えている同僚に合ったシーン
↑こんな考えの人もいてくれた☆と嬉しくなりました!
☆モグリで働く同僚に主任の話を聞き涙をこらえるシーン
☆アイスを食べた後、夫婦の問題を話し合うシーン
☆話を聞いていた息子が感情を荒立たせ親父を殴るシーン
観てよかったか?
5点 大変良かった!
4点 良かった
3点 ふつう
2点 ん~~~
1点 所々寝た(とばした)
0点 見るのを止めた
もう一度観たいか?
5点 もう何度も観てる
4点 観たい(何度も見る内容ではない気がするのですが、おすすめしたい作品)
3点 観るかも
2点 何とも言えない
1点 できれば他の作品を
0点 記憶から末梢したい…
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ブー子