2010年, イギリス フランス, 80分
初老の手品師と、彼を魔法使いだと信じた言葉の通じない少女の行く末は?
気になる劇中曲
『Chanson illusioniste』
感想
古い洋画を思わせるようなオープニングで始まる、過去の一世風靡した男のちょっと切ないお話です。
この作品は、スポーツをネタにしたパントマイムの芸で映画界でも活躍されたジャック・タチさん(本名:ジャック・タチシェフ)の自伝を思わせるような作品です。生前に執筆された脚本を、シルヴァン・ショメ監督が脚色されたモノだそうで(Wikiより)、ラストにある『ソフィー・タチシェフに捧ぐ…』というコメントにより、原作を映画にして欲しいと監督に話を持っていき、作品が出来上がる前にこの世を去ってしまったという、タチの娘さんへの気持ちが込められていることがうかがえます。
時代は1950年代のパリ。ロックミュージックが流行り、昔は売れっ子だった手品師のタチシェフは、劇場やバーでの小さな仕事をする毎日だったが、ある日、呼ばれてやってきたスコットランドのとある田舎町で、電気が通ったばかりという離島でのショーで、久し振りに大喝采を浴びます。その姿に偶然も重なり、そこに住む貧しい少女・アリスは、本物の魔法使いだと信じ込み彼に付いていきます。言葉の通じない2人が寄り添い、彼女が少し大人になるまでが描かれます。
セリフは少なく、雰囲気と細かな描写で訴えかけてくる世界観がステキです。
以前では人気者だった初老の男性が女の子を世話をする、というストーリー。どこかで似たような作品が…と思ったら、チャップリンの映画『ライム・ライト』ではないですか。
彼の作品では珍しいセリフ付きの作品で、コメディアンの彼がバレリーナの彼女を立ち直させるという感動作を、フッと思い出しました。
切なくも温かい、そして、彼女と彼氏のこの先がちょっと心配になってしまう作品です。
おまけ
※内容に触れていますので、知りたくない方は飛ばしてください。
少女アリス
設定は何歳なのでしょう。
貧しかった彼女はとにかく、何でもタチシェフの魔法で欲しいモノが手に入ると思い込んでしまっています。
一緒に住むようになり、彼に「魔法を見せて?」とでも言わんばかりに、かわいく手を差し出す彼女。
穏やかな表情に自然な態度ですが、やっていることは、初老のおじいさんからお金をまき上げているのと一緒ですから
何度か見るそのシーンに、そして、容姿は美しく変化するけど、彼とずーっと一緒にいても、言葉が通じないままだという状況に、心が痛まずにはいられません。
生きがいを感じるタチシェフ
なけなしのお金をはたいてまで、アリスに尽くす彼。
彼女に知られないよう、いや、彼女だけには夢を見ていてもらいたいと思っているのか、必死に働く彼の姿は涙モノです。
けれど、彼が一生懸命になれるのも、彼女がいるからこそ。同じホテルに住み着いている住人の寂しい姿を見ると、タチシェフが元気でいられるのも、彼がアリスに頼られていることが励みになっているからだということに気が付かされます。
ちょこ×2、惹きつけられるシーンたち
観客一人ひとりの表情も細かく表現されていたり、ショーで一緒に旅するウサギも何気に演技していたりと、細かい描写も見逃せません
中でも、同じホテルの住人の1人、腹話術師が手放したであろう人形がショーウインドウに並んでいるシーンでは、アリスにシチューを作ってもらったのは、人形との最後の晩餐だったのかな?とか、タチシェフもそうなっていたのかもしれないな、などと想像を掻き立てられ、徐々にライトが消えていくラストのシーンは本当に切なくなりました。
印象的なシーン
☆何度も出そびれ、うさぎが怒る!
☆スコットランドの正装で迎えてくれたおじさんが、スカートをはためかせながらのボート操縦シーン
☆うさぎを放すシーン
観てよかったか?
5点 大変良かった!
4点 良かった
3点 ふつう
2点 ん~~~
1点 所々寝た(とばした)
0点 見るのを止めた
もう一度観たいか?
5点 もう何度も観てる
4点 観たい
3点 観るかも
2点 何とも言えない
1点 できれば他の作品を
0点 記憶から末梢したい…
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ブー子