(更新 2016.02.03)

8点『無防備都市』当時のリアルなローマの姿

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1945年, イタリア, 103分
見れば見るほど惹き込まれる、ロベルト・ロッセリーニ監督が実際に体験した現実をフィルムで表現したイタリアン・リアリズムの世界。
若きフェデリコ・フェリーニさんが脚本・助監督を務めた作品。

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感想

モノクロ映画で少し乱れた映像が、更に戦争のリアル感をかもしだす。一見の価値ありです。
 

連合軍が入城する前に解放組織がローマを開放した1945年5月以前から、出演者のひとり女優マリア・ミキの部屋をアジトに、ロッセリーニはじめ数人の映画人は目の前で展開している事実を事実として描こうとし、実在の人物をモデルに構想を練り、スタジオが使えない悪条件下で撮影を始めた。
特に苦労したのは、混乱する戦中戦後に資金を集める苦労と、極度の物資不足によるネガ・フィルムの入手であった。闇市場でニュース用の短い断片のロールを買い集めてその分だけ撮影を進める。現場主義でオール・ロケに徹した。フィルムのブランドも感度も鮮度もバラバラ、ラボでは、処理液が不足し、露光後かなり時間が経過してからまとめて現像処理した。(DVD「参考資料」より)

 

監督は、ロベルト・ロッセリーニさん。ハリウッド女優でスーパースターのイングリット・バーグマンさんは彼の作品に惚れ込み、夫と子どもを捨てて彼のもとに走ったという話は有名。
作品も現実も衝撃的です

この作品に出演されているプロの俳優は、
・ドン・ピエトロ・ペレグリニ神父役のアルド・ファブリーツィさん、
・ドイツ兵に撃たれてしまうピナ役のアンナ・マニャーニさん、
・拷問に抵抗しひとことも自白せずに息絶えるレジスタンスの指導者マンフレディ技師役のマルチェロ・パリエロさん、
そして、
・同性愛と麻薬に溺れ裏切る女優、マリナ役はマリア・ミキさんのみ。
他の方は素人さんだとか。

シリアスなストーリーですが、ところどころ神父の言動が『ロミオとジュリエット』の乳母役的存在のように、作品をほっこりさせてくれています。
子どもたちからも市民からも頼られ、最後まで信念を貫き通す人の一人で、冷静にその場を判断するけど、ところどころドイツ兵への本音が漏れるなど、人間味が溢れていてとっても魅力的に描かれています。

「戦争に負けたから、言うことを聞け」
「言うことを聞かないから捕まえる」

何が良くて何が悪いのか、じっくり考えてみたくなる作品。

実は、1度観ただけでは理解ができなかったブー子…。
DVDの「参考資料」を読んだり、何度も繰り返し観たりしているうちに、そのドキュメンタリーと言っても過言ではないこの作品にのめり込んでしまった。

→「映画『無防備都市』がすごかった!(あらすじ)」を書いてます。こちら

おまけ

※内容に触れていますので、知りたくない方は飛ばしてください。

シリアスだけどインタレスティング
《マルチェロとアパートに爆弾を隠しに行くシーン》
ドイツ兵が差し迫り緊迫感溢れるところ。なのに、寝ていたおじいちゃんは正装している神父を見て勘違いし「まだ死んでいない!100歳まで生きる」とか、話が通じないという…。初めは気付かなかったがよーく聞くと、ドイツ兵が部屋の近くまで来た時に「カーン!」という音が!マルチェロがフライパンで黙らせるという、危機一髪助かる、おもしろシーンだ。

《↑からの、悲劇のシーン》
ピナが愛しい彼がドイツ兵に連行されるのに耐え切れず、「フランチェスコ!」と叫びながら兵を振りきって車を追い掛け銃弾に倒れる、この作品のクライマックスとも言えるシーン。いろいろな意味で、何度も見たくなるシーンの1つ。

《マリナという女性》
ラジオから流れるジャズを聞きながらの、流れるようなステップがステキ。大好きな男性と久しぶりに再会し、ちょっと浮かれている様子がかわいらしい。しかし、彼との価値観の違いから、後には引けなくなってしまった空弾みな行動が後に悲劇を生み出すとは。後悔までのカウントダウンが、いたたまれません…。

《イングリットという女性》
良い仕事をしたら高い報酬はあたりまえ。ベルグマン少佐とイングリッドはある意味冷徹であり最強なふたりだ。お互いに、いい意味でも悪い意味でも高めあっている。マリナも欲しいモノが手に入るその世界に足を踏み入れかけ、彼女に憧れのような恋のような感情を持っているようだが、羊のシーンやラストに気絶する姿を見ると、踏みとどまるかもしれない。…いや、もしかしたら精神的に壊れてしまうのかもしれない??やはりイングリッドとの距離はまだまだ大きいようだ。

心に残る台詞

(: )=数字はおおよその時間
☆誰だって体に悪いことと知っててやってるわ (25:00)
☆人間は知らずに罪を犯すことがあります (30:30)
☆自分は勝手なことをしていながら 何かあると すぐ天を恨むのが人間なのだ (31:20)
☆何があっても希望を捨てちゃいけないよ (43:00)
☆みんなと同じ事をしただけよ (1:06:30)
☆憎悪に囲まれて希望はない (1:28:57)
☆死ぬのは難しくない 生きるのが難しい (1:38:55)

印象的なシーン

☆子どもが遅くに帰ってきて家族でケンカ (37:36)
☆ドイツ軍将校が話すシーン (1:29:00)
 
 


観てよかったか?
5点 大変良かった!
4点 良かった
3点 ふつう
2点 ん~~~
1点 所々寝た(とばした)
0点 見るのを止めた


もう一度観たいか?
5点 もう何度も観てる
4点 観たい
3点 観るかも(何度も見返しました。今後またきっと)
2点 何とも言えない
1点 できれば他の作品を
0点 記憶から末梢したい…

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ブー子