(更新 2016.02.03)

映画『無防備都市』がすごかった!(あらすじ)

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ローマ開放直後、6ヶ月に渡って製作された傑作。
1度観ただけでは分かりにくいけど、繰り返し観るといろいろ見えてくるのです。

ロベルト・ロッセリーニ監督。
フェデリコ・フェリーニさんが脚本・助監督の映画。

内容を、かいつまんで書いてます。
→映画『無防備都市』の感想などを書いた記事はこちら

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主なキャスト
エンドロール順(☆は俳優さん/?はよく分からない役)

役名 俳優
Marcello(マルチェロ) V.ANNICHIARICO(ヴィト・アンニキアリコ)
Sagrestano(宗教道具の保管担当者) N.BRUNO(ナンノ・ブルーノ)
Don Pietro(ドン・ピエトロ・ペレグリニ神父) ☆A.FABRIZI(アルド・ファブリーツィ)
Bergmann(ベルグマン少佐) H.FEIST(ハリー・ファイスト)
Francesco(フランチェスコ) F.GRANDJACQUET(フランチェスコ・グランジャッケ)
Pina(ピナ) ☆A.MAGNANI(アンナ・マニャーニ)
Marina(マリナ) ☆M.MICHI(マリア・ミキ)
Manfredi(ジョルジョ・マンフレディ ☆M.PAGLIERO(マルチェロ・パリエロ)
Il metropolitano E.PASSANELLI
Il questore(コミッショナー?) C.CINDICI
L'austriaco A.TOLNAY
Hartmann(不屈の男?) VAN HULZEN
イングリッド ジョヴァンナ・ガレッティ

内容
第二次大戦末期、今まで同盟国だったドイツに占領されたローマ

秘密警察の家宅捜索を逃れた、反ナチスの解放戦線(レジスタンス)の幹部のマンフレディは、フランチェスコのアパートを訪ねる。

《フランチェスコ不在の部屋で》
フランチェスコと同じアパートに住むピナが帰ってくる。彼の部屋の前にいるマンフレディが秘密警察ではなく彼の知り合いだと分かると、部屋の鍵を開け中に招き入れる。
彼に頼まれ、ピナは息子(マルチェロ)に、ピエトロ神父(以下:神父)を呼んでくるよう使いに出す。
ピナは、フランチェスコとの結婚式が明日だということを話しながらコーヒーを出す。
そこにピナの妹(ラウラ)が入室。マンフレディはその彼女が、マリナと同じところで働いていることに気付き、「しばらく連絡ができない」という伝言を頼む。ピナ曰く、彼女とは小さい時から一緒に育ってきた仲だと言う。恋仲なのかという質問にマンフレディは、性格が合わず潮時だと打ち明ける。
神父が到着すると、マンフレディは早速「山に隠れている500人の同士が待つところまで軍資金を運搬して欲しい」という要求を伝える。(一般人は17時以降の外出が禁じられている。)

神父は承諾し、フランチェスコの働くところに出向き、本に隠された軍資金であるお金を預かる。

《女優・マリナの楽屋》
マリナは浮かない顔で薬の小瓶を手に取るが空っぽ。そこにラウラがやってくる。
マンフレディからの伝言を聞き、更に落ち込む。
そこにイングリッドが入ってきて再会を喜んだ後、出番のために退出する。
その時、イングリッド楽屋の鏡に貼ってあったマリナマンフレディが写った写真を黙認する

《教会の一室》
ピナが待っていたところに、本(頼まれた軍資金)を持った神父が帰ってくる。
神父マンフレディに頼まれた用事を済ませるため、ピナと教会を出ようとしたその時、軍服を着た男性が神父を訪ねてやってくる。
神父は念の為、ピナに本を預けたまま教会に待たせると、男を別室に通す。突然男が拳銃を取り出し焦る神父!しかし男が差し出したのは、銃弾に込められた手紙。彼は神父を頼ってやって来た「脱走兵」であることが分かる。
彼をそこにとどまらせ、神父ピナの懺悔を聞きながら近くまで送り、誰にも気付かれることなく、仲間の待つ場所にお金を無事に届けた

《フランチェスコの部屋》
フランチェスコはアパートに戻り、待っていたマンフレディと一緒に質素な夕食を食べながら、なぜ自分の正体が分かったのかと、秘密警察の警戒を強めることにする。

《アパート》
近くで、子どもたちが手作りの爆弾を爆発させる。
遅くまで家に帰らない子どもを心配するアパート住人の親たち。
生活に疲れたと言うピナに、フランチェスコは「希望を捨てちゃいけないよ」と優しく語りかける。

マンフレディのアパートの大家(らしきところ)にマリナから電話が掛かってくる。彼の居場所を尋ねられるが行方は分からないままだと答える。

《秘密警察・ベルグマン少佐》
各新聞に目を通すベルグマン少佐のもとに署長がやってくる。
彼が持っていた情報は、1928年2月にボローニャで逮捕された、反逆罪で捕まり護送中に脱走しパリとマルセイユに出没したという「ルイジ・フェラリス」という名前の男のことだった(←マンフレディ?!)。その情報を確認させるため、ベルグマン少佐イングリッドに話を持ちかける。

《結婚式の日のアパートでの悲劇》
男の子たちが朝、教会に集まる。
友達の女の子が、アパートにドイツ兵たちが一斉に捜索に来たことをマルチェロのところに知らせにやってくる。そこで神父に爆弾を隠していることを打ち明ける。
一方アパートでは、武器を隠すため、フランチェスコたちが裏から向かうところだった。間一髪で抜け出すことができたが、ドイツ兵たちは、男性の姿が見当たらないことを不信に思い通訳を通し、(さっきまでフランチェスコにお祝いを持っていっていた)上から降りてきた男に問い詰めるが、男は「門番じゃないから分からない」と、ごまかす。そこに正装した神父マルチェロが現れ、「重病人が取り残されているはずだ」と言って、アパートに侵入することに成功し、足を怪我した仲間の男の子から爆弾を無事確保する。ところが、武器と爆弾を持ったままでは外に出られない。そこで、たまたま部屋で寝ていた、騒動に気付いていないおじいちゃんをどうにか黙らせ(マルチェロがフライパンで殴って気絶させた)、ドイツ兵の目を欺くことができ、危機を脱することができた。

フランチェスコが車に乗せられてしまうところをピナが目撃する。ドイツ兵を振り切り必死に名前を呼びながら彼を追いかける。「来るな!」と言うフランチェスコの言葉虚しく、ピナは息子の目の前で銃に打たれてしまう
その後、フランチェスコマンフレディたちの乗った車を仲間たちが襲撃し、2人はどうにか逃げ出すことに成功する。

《マリナとレストランで》
兵士によって2匹の羊が連れてこられたレストランに、マンフレディフランチェスコがやってくる。そこには、心配したマリナが待っていた。何でもないと平静を装うマンフレディ。食料切符を持たないフランチェスコ
お給仕係が先にいた担当の男と交代し、仲間(?)がまた捕まったという情報を耳にし、張り詰めた空気になる。
2人の泊まる場所を心配したマリナは、自分の部屋に泊めることができると提案する。
別室から、銃弾が聞こえる。
先程連れてこられた羊が食用にされるシーンを見て、マリナは目を背ける。

《教会》
大勢が祈りを捧げている教会の別室で、タバコに火をつけるフランチェスコの姿。心配そうに見る視線の先には、母を亡くしたばかりのマルチェロが眠っている。
彼は思いつめたように、イエス像を見つめる。

《マリナのアパート》
マリナはラジオをつけ、アメリカのジャズで陽気にステップしながら、お客からもらったお酒を2人に振る舞おうとするが、フランチェスコの様子がおかしかったため、熱があることに気が付く。
急いでベッドの支度をしているところに、ラウラが酔って泊まらせて欲しいと部屋に訪ねてくる。「姉とケンカした」と言って、そのままマリナと寝室に行き寝る支度を始める。まだピナの事件を知らないらしい。

マンフレディはアスピリンを取りにマリナの部屋に行く。そこにイングリッドからの電話が鳴る。「連絡を待っていた」「お客?そこにいるの?」という質問にマリナは「ラウラがいる」とだけ答え、電話を切る。
その間、マンフレディマリナが隠し持っていた薬を見つける。マリナは「歯の痛み止め」と言ってごまかそうとする。

マリナ「…信じてよ」
マンフレディ「何をしようと君の勝手さ 僕は批判する資格ない」
少しイラつくマリナ「給料だけでは大したものが買えない」、「大勢の人の愛人になってきた」、「みんなと同じようなことをしてきただけ」と感情をぶつける。
マンフレディ「心掛けしだいだ」
マリナ「違うわ、人生なんて汚いものよ 貧乏したら悲惨よ 普通の結婚をしてたら 今ごろ飢えて死んでるわ 子供と一緒にね」
マンフレディ「哀れなマリナ 君の幸せとは 大きな家に住んで いい服を着ることか?」
マリナ「愛してくれないからよ」

贅沢な暮らしを求めるマリナマンフレディの気持ちは交わることはない…。

彼はフランチェスコが休む部屋に戻り、アスピリンを飲ませる。
フランチェスコは隠れずに更に勢力的に活動しようと気持ちを奮い立たせ言うが、マンフレディは彼を落ち着かせながら「我々の戦いは始まったばかりなんだ」と冷静に語る。それを、ドア越しに聞くマリナ

マリナは寝室で悩んでいる。彼への想いも、考え方も届くことはない…。思いつめた表情で電話の受話器を手に取った時、横で寝ていたラウラが「やっぱり私たちバカな女なのかもね」とつぶやく。その言葉に、マリナは受話器を置く。

《教会の部屋》
マンフレディが路面電車で神父の待つ部屋を訪れ、頼んでおいた身分証明書を受け取り、脱走兵神父と部屋を出る。
外では、フランチェスコマルチェロと、しばしの別れを惜しむ。マルチェロはパパと呼びママ(ピナ)のマフラーをフランチェスコに渡す。
フランチェスコが3人の後を追うように大通りに出ると、彼らが秘密警察に捕まるところを目撃し、とっさに身を隠す

《秘密警察の部屋で》
ベルグマン少佐は電話でマンフレディたちが通報があったとおり現れ捕まったことを知り、喜び、隣りで聞いていたイングリッドにせがまれるまま薬を渡す。イングリッドは別室にいたマリナに、高級そうなコートを差し出す。マリナは自分のしてしまったこと(=密告)を後悔する。

捕まってしまった3人は部屋に閉じ込められる。
一方、ベルグマン少佐のところに、教会から押収されたモノ(偽造証明書を作るための道具?)が届き、公になる前に急いでマンフレディたちの持っている情報を聞き出すことにする

別室ではマンフレディ神父に今までのお礼を言う。脱走兵は怯えている。

マンフレディが呼ばれ、ベルグマン少佐からの尋問が始まる。
「今までのことをすべて知っている」、「軍事組織の情報を知りたいだけだ」と言われるが、マンフレディは命を掛けても言わないことを誓い、ベルグマン少佐が差し出したタバコを吸いながら、そのまま拷問室に送られる

神父が呼ばれる。一人になった脱走兵は更に不安になり、部屋の隅の排水管を見つめる。

ベルグマン少佐神父に、偽造証明書を作ったり、脱走兵を隠したりしてきた今までの行為を攻める。しかし神父は「良心に従ってきたことだ」と冷静に答える。何も話さないマンフレディに情報を言うように説得しろと言われるが、神父は「正義と自由のために戦うものを信じる」と言い、応じない態度を貫く。

ベルグマン少佐は「時間がない、協力するつもりはないんだね」と言って、神父にマンフレディに対する拷問の一部始終を見せ始める

兵士から、脱走兵が首を吊ったという報告が入る。

「バカめ」ベルグマン少佐は優雅なピアノが演奏される部屋に移動する。
そこでは、カードゲームをしたり、酒を飲んだり、またイングリッドマリナもソファで様子がおかしくなっていた。
マンフレディの口を割ることを信じているベルグマン少佐
そんな彼に対し、25年前に中隊長だったという将校の一人が「必然的に憎悪を産む 俺たちが憎悪の的になる 憎悪に囲まれて希望はない」「僕らは絶望の中で命を絶つのだ」と酔いに任せるように話し出すベルグマン少佐はその言葉に苛立ち遮る。
拷問していた部屋からやってきた男が「マンフレディから情報を聞き出すことは難しい」と報告が入り一緒に部屋を出る。

意識がなくなったマンフレディに注射で意識を戻らせると、ベルグマン少佐は「フェラリス君」「仲間の名前を言ったら彼らはみんな安全だ」と、最後の説得にかかるが、つばを吐かれ、再びさらにきつい拷問を始める。すこし、弱気になるベルグマン少佐
そこにイングリッドが現れる。「簡単にいかないと言ったでしょ」と冷たく言い放ち、拷問の様子を眺め、ベルグマン少佐にタバコを要求し火を付けさせる。ベルグマン少佐はそんな彼女を前に、小さい男だと思われたくない一心であるのか、気丈に紳士的に?振る舞い、マンフレディの前に神父を連れてこさせ、説得するように命令する。

神父マンフレディに一言「がんばったね」と優しい言葉をかけると、彼は静かに息をひきとる

神父「終わった…」「体は殺せても、霊魂は殺せないぞ!」と怒りをあらわにする。
「お前らは地獄に堕ちる」
たじろぐベルグマン少佐たち。

しかしすぐに冷静さを取り戻した神父は、神に謝罪の言葉を言うと、マンフレディのために聖書の言葉を唱え始める。

上機嫌のマリナが将校と一緒にやってくる。その状況を見て笑うが、すぐに彼に気づきその場で気絶してしまう。
イングリッドは再び笑みを浮かべながら、マリナが羽織っていたコートを奪い、その部屋から去っていく。

《処刑場》
言われた通りに動く兵士のもとに、神父が到着する。
祈祷台に模した死刑台に神父を縛る。その後ろ側に何人もの射撃銃を持った兵士が並び、合図と共に一斉に銃口を向ける。
聖書の言葉を唱える神父の耳に、口笛の音色が届く。少し離れた柵のところに子どもたちがいるのが見える。

次の合図で、兵士たちは直前にみな銃口をずらして発砲。
顔を上げ、何かを唱える神父
誰も神父を撃てる者はいなかったのだ。

指揮官は「撃て」と叫ぶが、誰も動かないため自分の持っていた銃で彼に手を下す

それを見届けた子どもたちは、ガックリと肩を落とし街に帰っていくのだった。

ーーーFINEーーー

ひとこと
フランチェスコは、この話では捕まっていない。
悲惨な現場を見ていた、子どもたちもいる。

この争いは、終わることがないようにさえ思えてくる。

関係ない者同士が、教え(命令)通りに動き、戦い、取り返しのつかない状況にしていく戦争。
憎しみが憎しみを産み…と酔った勢いで話し始める将校の話が心に残る。

言われるがままに拷問をする者もいれば、ベルグマン少佐のように使命に燃える者もいる。
何よりも怖いと感じたのは、その男性を操るかのようなイングリッドのような女性の存在だ。
もはや、贅沢のためという考えすら越えた恐ろしさを感じる。

誰のためのモノだろう。
立場の違う者の考えを想像することができたら、、、信念を貫こうとする意思の根底にあるものを見せ合えたら、少しは何かが変わるのだろうか。

初めはあまりの画像の粗さに、そして、顔をみてもフランチェスコなんだか、マンフレディなんだかよく分からない登場人物に「誰が何をしたいのか」ということすら曖昧で、正直よく分からない作品だと思った。しかし「何が映し出されているのか知りたい」と興味が沸いたのも事実。とにかく、見れば見るほど、細かい描写に感心させられる作品なのだ。

思わず何度も見返し、心に残ったことを書いてます。
少しでも共有できたら…と思って。

 
 

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