フジテレビで放送されていた木曜ドラマ『ナオミとカナコ』。
(2016年1月14日〜3月17日・22時~22時54分放送)
衝撃的なキャッチフレーズと、「次週も続くのかな?」と勘違いをしてしまった最終回がまだまだ記憶に新しいドラマです。
原作とは何が違うのか気になったので、早速奥田英朗さん原作の小説(幻冬舎)を読んでみました。
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ストーリー
「葵百貨店」外商部に勤めている直美は、ある日、専業主婦で学生の時からの親友である加奈子が、夫・達郎からDVにあっていることを知り思い悩む。その間も、夫からの暴力は止むことはなく、逃げることもできない加奈子を助けるため、直美は彼を一緒に「排除」することを考え実行に移す…。
ドラマと小説の違い
ドラマと小説の違いは大きく2つ。
1つ目は、達郎の姉妹・陽子がドラマでは姉なのに対し、小説では妹だということ。
ドラマでは直美と一緒に仕事するシーンがありましたが、小説では2人は何の接点もありません。
達郎が姿を消し警察や職場が「失踪事件」ということにした時も、その判断に違和感を覚え、直美と加奈子に執拗に絡んでくる陽子の姿は、本当にドキドキさせられっぱなしでした。そんな頭も勘も良く2人の身辺を嗅ぎまわる姿が末恐ろしい陽子をドラマで演じられたのは、吉田羊さん。
家族として、人として正しいことをしているはずなのに、なぜか敵に見えてくるのが不思議です。
2つ目の違いは、2人の協力者、林さんの行動・人柄が違うところ。
顔が同じだけど、国も性格も違う達郎との2役を演じていた佐藤隆太さん。ドラマでの林は、優しく、控えめな性格で、軽く加奈子に恋心を抱く要素が含まれていましたが、小説では全くそんな素振りは見えず、何気に欲深き男に描かれていたのが印象的でした。
気になる内容と、ドラマの魅力的な出演者
もし友人が困っていたら、どこまで手を差し伸べることができるでしょう。
直美がなぜ友達のために危険を犯してまで協力できるのか、その理由の1つには、実の母も夫から暴力を振るわれていたということがあるのだと思わずにはいられません。
幼い頃から側で見ているだけで、どうすることもできなかったという罪悪感のようなものが、親友を夫から開放させてあげたい、守りたいという気持ちを強くさせているのですよね。
達郎や直美の父親が妻に対して振りかざすDV行為は、法で裁かれるどころか表沙汰になることすら難しく、それに対し、主人公である2人の行いは法で裁かれる大罪。
それを実行してしまう2人の行動は許されることではないはずなんだけど、見て(読んで)いるうちに、そうしなければ生きていけない加奈子に同情し、2人が導かれるようにその行為に及んでいくことを正当化せずにはいられなくなるんです。
そんなまっすぐで、暴力を振るう男性が信用できない直美を広末涼子さん。
夫の言いなりにしかなれない状況から一転し、本来持っていた力を発揮し出す加奈子の役を、内田有紀さんが演じていました。
また2人の唯一の理解者、店の女主人・李朱美役の高畑淳子さんの演技が最高でした。
このドラマを見続けた理由の1つは、彼女の存在があったからといっても過言ではありません。すっかりハマってしまいました。
サスペンスあり、女の友情物語でもある『ナオミとカナコ』に、思わず読みふけってしまいました。
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ブー子