(更新 2016.02.23)

藤原竜也さんが過去にいじめられた青年を熱演『海底の君へ』

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2016年2月20日、土曜日 19:30~:NHK総合テレビより 特集ドラマ『海底の君へ』が放送されました。

前日に『あさイチ』のプレミアムトークのゲスト出演された藤原竜也さん。
→「藤原竜也さん『あさイチ』で魅せた素顔」について書いた記事はこちら
今までの役とは違った「中学時代のいじめが原因で現在も苦しんでいる青年」を演じられました。

内容を少々書いてます。

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内容

茂雄(藤原竜也さん)がアルバイトをしている店で万引きをした少年(市瀬悠也さん)の保護者として姉(成海璃子さん)がやってくる。
店員が攻めるところ、茂雄は「万引きはやらされたんじゃないか」と言ってかばい、姉弟は茂雄に感謝しながら店を出ていく。

その夜、茂雄のもとに中学校の同窓会のはがきが届く

【街中で】
茂雄は制服を着た学生の姿を見て、昔教室でいじめられていたことを思い出し、パニックを起こす
そこへ、仕事が終わり「見たいテレビがあるんで」と同僚の合コンも断わって帰宅していた、万引き騒動の時の彼女が通り掛かり、助けられる。

彼女が買ってきてくれた水を飲み、少し落ち着きを取り戻した茂雄。

茂雄「もうずっとダメなんです 人に迷惑かけてばかりで 人が普通にできることができないんです」「妹が結婚するので普通になりたい」「迷惑が掛けられない」

彼女は茂雄に渡した水を一口飲み、再び返す。
少し動揺した茂雄は歩き出し、「僕も同じだった」と、パニック起こすのは中学生時代のいじめの後遺症だと告白する

2人は互いの名前を聞き合う。
「手塚真帆」
「前原茂雄です」
真帆「しげちゃんね」
茂雄「また会ってほしい」

【妹・小絵(サエ)の可愛い車を借りてドライブをする2人】
茂雄が選んだおしゃれなお店は定休日。
お腹がすき過ぎてラーメン屋さんに入るが、茂雄は学ランを着た男の子達がたくさんいるのを見て、めまいを起こす。

茂雄は真帆に打ち明ける。
中学の時にひどい暴力を受けていたこと、今まで引きこもっていたこと、母親が出ていったこと、自分のせいで家族がめちゃくちゃになったこと、今は潰れた工場を間借りして、父と妹と3人で暮らしていること。そして中学時代のいじめられるシーンがフラッシュバックし、今でも苦しんでいることを告白する

茂雄「いつになったら普通になれるのかな」
真帆「しげちゃんは優しすぎる そこがいいんだよ」

【カウンセリングを受けるシーン】
茂雄が先生と向き合って座り、フラッシュバックのことについて話している。

茂雄「殴られたりする時の声が聞こえる」相手の顔も、誰の声かも覚えていると答える。
茂雄「うなされて起きることもある」「先生 早く普通になりたい どうしたら治るんでしょうか?」
先生「中学時代のいじめ後遺症と言っていいと思う 原因は一度に取り除けるものではないのでしょう 焦らなくていいんですよ」

うつむいてしまう茂雄。

【茂雄の家】
荷物をまとめる小絵。
小絵「式の1ヶ月前には出る予定。ちゃんとできるよ」

【埠頭で】
真帆が少し離れたところにいるところで、茂雄と瞬が話している。
茂雄はドライブは大失敗だったと瞬に話すと、姉は家で腹を抱えて爆笑していたと、デート後の様子を楽しそうに話す。

茂雄「瞬くんはどうなの?」
「あの人の方が心配」

2人の方に歩いてくる真帆を見て、入れ違うように帰っていく。

真帆は自分達のことについて話し始める。
母とは何年も口聞いてないということ、父がアメリカに転勤し母も当てつけのように付いて行ったこと、瞬も残ってくれたこと。

茂雄「妹も同じ 家族を支えてくれていた」「幸せになってもらいたくて」
真帆「手、繋いでいい?」「私は繋ぐから」
少し強引な真帆に戸惑いつつ、穏やかな2人だけの時間が流れる。

【茂雄の住む工場の空き地で】
スクーターの廃材を集め何かを作っている茂雄の前に、同年代の男・中井が自転車で通り掛かる。

中井「立花が同窓会の返事がないことを気にかけてたよ」「あいつもだいぶ丸くなったし」
茂雄は返答に困る。

【立花の勤務先の前】
茂雄は、先輩弁護士と話しながら歩いてくる立花に声を掛けるが、彼は茂雄を見てもすぐに気付かない様子。
名前を言うと、ハッとし他愛のない挨拶を済ませる。「弁護士のかけだし」だと言う立花。

立花「同窓会の返事?」
茂雄「僕は君たちに 何であんなことをされたんだろ?」
立花「多少やりすぎたことがあったかもしれないけど」「ゆすりに来たのか?」
茂雄「いじめの原因が知りたい」
立花「もう忘れようぜ」「前向いて行こうぜ」「返事出せよ」

そう言って、めんどくさそうに去っていってしまう。
茂雄は冷や汗が止まらなくなり、その場で膝から崩れ落ちる。

帰り道、線路の上でいじめの声がフラッシュバックし始め、真帆からの電話にも出られなくなってしまう。

〜数日後〜
茂雄がアルバイトのユニフォームを戻して帰ろうとした時、連続で無断欠勤をしたことを理由にクビを言い渡される。
「すいません」と言って、茂雄はその場所を後にする。

【以前アルバイトをしていた工事現場で】
知り合いの銀ちゃんを通し、バイトの話を尋ねに来た茂雄。
菊池「中途半端に辞めていっただろ」「こっちも慈善事業じゃない 病気を治したら来い」
「甘えているんだよ 結局」

味方だと思っていた銀にまで冷たくされたように感じた茂雄は、その後、海を見、家に帰り、部屋に閉じこもってしまう。

「また逆戻りか」
小絵「心配しなくていい」「自分勝手なんだよ みんな私がいなくなったらどうなるの しっかりしてよ」

茂雄は再びフラッシュバックに苦しむ。 

中学生の声「消えろ」
怒鳴り声に耳を塞ぐ茂雄の姿。

【手塚家】
真帆「瞬いるの?」
部屋から出てこない瞬に必死に声を掛けドアを開けさせると、体や下着にまで落書きされた状態の瞬が立っていた。
脱いだ制服は汚れ、切り刻まれている。
「俺 明日から学校行かない いいよね」

抱き寄せる姉。

茂雄の電話が鳴るが、出られない。真帆は留守電に「しげちゃん 話したい 連絡ください」と入れる。

その頃、茂雄もフラッシュバックで、過去に体育館倉庫のような場所で担がれたり、教科書を破かれたりされたことを思い出し、苦しんでいた。

【いつもの埠頭】
海の方を向いて座る茂雄。後ろから声を掛けられる。

真帆「瞬がいじめられて帰ってきた」
認めることになるからと誰にも打ち明けられない。
真帆「どうしたらいい?」「私 怖い どうしたら守れる?」
茂雄「僕はダメな人間だから 力になれない」
真帆「卑怯者!私にはしげちゃんが必要なんだよ 助けて欲しい時に逃げるなんて…」そう言って海に飛び込む。

真帆を追って飛び込む茂雄。

濡れた体を支え合いながら、茂雄は、昔「お前のためだ」と言われ、モノみたいにこの海に投げられたことを打ち明ける。

茂雄「自分が何のために生まれてきたのか 分からない」
真帆「悪いのは しげちゃんじゃない」
崩れるように泣く茂雄を優しくなだめる真帆。

【茂雄の家】
「小絵 結婚ダメになった」
前から家庭環境などが理由で反対されていたことを打ち明けられる。

真帆から電話が掛かってくる。
茂雄は急いで病院に行く。
病室のベッドには、マンションの部屋から飛び降りて意識が戻らない瞬が、真帆の前で眠っていた。

【病院のロビー】
真帆の前に、加害者の代理人としてやってきた立花が座り、今回の自殺未遂について話し始める。

学校でいじめの認識はない。
子どもの遊びの延長。
家庭環境に問題があるのではないか。
思い込みで声をあげて傷つくのは瞬くんですから。

丁寧な口調で淡々と話す立花に対し、ほとんど言い返すことができなかった真帆は、瞬の病室に戻ると、意識のない瞬を前に謝るしかできない。

【立花の職場のロビー】
立花に会いに来た茂雄。

立花は、担当の事故について茂雄に話し始める。
立花「いじめ 自殺未遂だよ」「加害者も最近の子は我慢がきかない」「死ぬ勇気があるんだったら何だってできるんだよ」「いじめられる側にも理由がある」「いじめはなくならない」

茂雄「同窓会の返事 出席するよ 必ず」

【瞬の病室】
ベッドにもたれかかって眠る麻帆を見る茂雄。

茂雄「なんにも変わらない 昔も今も」
麻帆の手を握る
茂雄「もう、終わりにするよ」

店でサンポールを手にする茂雄。

【ある工事現場】
茂雄「銀ちゃん 俺分かった この世界からいじめをなくす方法」
「前向きなんだな」
茂雄は頷く。

【夜の埠頭】
茂雄はビデオカメラをセットした前で、何かを用意している。
飛行機の騒音の中、手作りの爆弾を爆発させる

【別の日の病院】
意識が戻った瞬に「顔を見せてよ」と茂雄に頼む真帆。
茂雄「会わないほうがいい」「君は悪くないって言い続けてあげて」

そう言って病院を後にする。

〜同窓会当日〜
自分の部屋を出た茂雄は台所に立つ父に、「小絵に今日までありがとう」と伝えてほしいと頼み、家を出る。

盛り上がる同窓会の会場に入ると、中井が声をかけてくるが、他の人は誰も茂雄のことが記憶に残っていない様子。

盛り上がってきた同級生たちは、一人ずつマイクの前で近況報告をし始める。
茂雄だけがひとり真顔で立っている。

【茂雄の家】
父は小絵に、茂雄の様子が変だったことを伝え、夜勤に出る。

麻帆が茂雄の様子を心配し、家を訪ねて来る。
小絵は不安に思い、慌てて二回に駆け上がると、鍵が掛けられた茂雄の部屋のドアを蹴破る。
真帆と一緒に部屋に入ると、起動されていたパソコン画面に『海底の君へ』というサイトがたちあがっている。
そこには何度も繰り返す「爆発シーン」の映像と、ネット中継で同窓会パーティの会場が映し出されていることに気付く。

【同窓会の会場】
近況報告が茂雄の番になる。

参加者たち「頑張れ 頑張れ」
茂雄「ひきこもっていた」
参加者たち「明るくいこ〜」

茂雄「お願いがあります」「僕と死んでください」

茂雄「立花くん 海に投げ込まれた日からずっと 海の底にいたよ 一度も浮かぶことが出来ず 息もできなかった」
瞬のことを話す茂雄。
茂雄「分かってもらいたいんだ 僕らの海の底が どれだけ暗くて 苦しいか」

茂雄はコートを脱ぐ。
体にダイナマイトを巻いていた。
インターネットでこの様子が中継されていることを告げる。

茂雄「教室や社会で苦しんでいる人 僕の思いを拡散してほしい」
立花「仕返ししたって…」
茂雄「仕返しじゃない これは警告 いじめが人の心を壊すってことの警告 殺される人間にも理由があるんだよ

中井お前に何もしていないだろ?」

茂雄「中井くんは見て見ぬふりしてただろ 何も変わらない

立花「許してくれ 悪かったよ」

茂雄「ここで世の中は変わる いじめはなくせるんだ だから一緒に死んでくれ みなさんさようなら」

「しげちゃん!」
真帆登場

真帆「やらなくていい こんな世の中 間違ってる」「このやり方じゃない」「たくさん人が死ぬんだよ?」「生きてよ しげちゃん」

茂雄「なんで?!」
泣き崩れる。

真帆「しげちゃんは悪くない」

「8時55分 容疑者確保!!」
たくさんの警察が茂雄を取り押さえる。

この事件は、計画的な犯行として、ネットやマスコミで大きな反響を呼んだ。
茂雄は情状酌量の余地があるとし、懲役5年の判決が下る。

世間の目は冷たく、茂雄に対する厳しい声も上がった。

時が経ち…
お腹が大きい小絵と一緒に歩く真帆の姿。
真帆「もうすぐだね」

扉から出てくる茂雄を待つ2人。
小絵「おかえり」
真帆「待ってたよ」
茂雄「ありがとう」
茂雄に抱きつく真帆「生きていかないと

真帆の手を取る茂雄

3人は、前を見て歩き出すのだった。

ーーーおしまいーーー

『いじめをノックアウト』という番組で集まった視聴者の声から制作されたという特集ドラマ。最後に、この番組のMCである高橋みなみさんの「一人ひとりができることを考えて見ませんか?」のメッセージでしめられていました。

ひとこと

藤原竜也さん演じる、いじめに苦しむ前原茂雄の身なりがキレイで、いじめられ役として見ることは少々難しかったり、「普通になりたい」「いつになったら普通になれる?」など、「普通」という言葉が耳に残ったりということはあったが、たくさんの人の声をもとに作られたという作品に、いじめについて考える時間が持てた。

同窓会に集まった参加者のノリや、いじめる側といじめられる側の意識の違いなど、妙な怖さを感じたドラマだった。

級友に久しぶりに合える同窓会シーンでは、現在「自分の思うよう過ごしている人」にとっては楽しい場だけど、「自分の思うような生活ができていない人」にとっては耐え難い場だと、感じてしまう程だ。

茂雄にとっては今もなお苦しみ、終わっていない「いじめ」は、今を楽しく過ごしている「いじめていた側」の人にとっては、なかったことに等しい過去。いじめを覚えているのは、嫌なことをされた側だけなのだ。

思わず、茂雄の怒りに共感してしまいそうになる。

人はなぜ、いじめる?

みんなから外れないため。
相手に自分の存在を認めてもらいたいから(分からせたいから)。
考えの違う相手を認められないから。

誰かがやったから。
自分がやられたから。
嫌な思いをしたから。
相手もそうならなきゃ気が済まないから。

自信がないから。
我慢できないから。

プライド、恐怖、意地の張り合い。

他人への感情に執着せず違うことに気を向けられれば、どんなに幸せかと思うけど、人というのは、なぜかそれらに執着してしまう。

相手が反応すればおもしろがり、無視をすれば腹を立てる。
いじめられる側が真剣になればなる程、苦しめば苦しむ程、ドツボにはまるという悪循環に陥るいじめ。

繰り返している限り、終わりはない。
いじめはまるで戦争のようだ。

この作品の茂雄の場合、自分と一緒に周りを消すことを「いじめをなかったことにする方法」として選んでしまうが、彼にとって終止符を打てたのだろうか?

あの事件の後の、同窓会に参加した者たちの心にはどのように残るのだろうか?

ニュースになり、容疑者に対する街の声が生々しかったが、世間とはそういうものなのだ。
部外者で、ひとごとで、核心にはほど遠い物事しか見えてはない。
それがまた、当事者の生き難い環境をつくってしまうという二次被害を引き起こすような内容に、再び考えさせられてしまった。

一人ひとりが人の評価を気にせず自分の魅力に気付けたら…。
いじめに費やす時間を自分作りの時間に当てられたら…。

何かが変わるはずだとブー子は信じている。

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ブー子