2006年, アメリカ, 122分
母への反抗心が込めらている、自伝を基につくられた作品
あらすじ
有名な詩人になることを信じ活動している母・ディアドラと、その夢に半ば呆れている父・ノーマンと暮らす幼いオーガステン。両親の関係は徐々に悪化し、2人で受けたカウンセリングの時の精神分析医との出会いによって、家族がバラバラになっていく・・・。
感想
もし家族や友人に、無理そうな夢を追っている人がいたらどうしますか?
「とことん応援する」という答えを出したあなた。
もしかしたら、考えが揺るがされることになるかもしれません。
なぜ『ハサミを持って突っ走る』という題名なのかは分かりませんが、覚悟を持って夢に向かって突っ走ってきたという、自身の本を書き上げるまでの彼の意気込みのようなものが伝わってきます。
家族でぶち当たる壁に、どう対処できるか?夢を追いかけるその時、一番近くにいる人、家族に反対された時に、その夢を追い続ける意味を考えられる心の余裕があるか?…そんな問いを、突き刺されているかのようにも感じました。
自分の気持ちに正直に生きることも大切だけど、やりたいことがうまく行かず、それを無意識に相手のせいにし始めたら、ディアドラの事を思い出すといいかも。
今向かっているその夢は、他人だけでなく、自分も不幸にする「妄想」かもしれません。
そのディアドラを演じるアネット・ベニングさんの演技は怖いくらいです。
徐々に精神的に病んでいく様子がリアルなので、夢を叶える映画だと思って見ると、とんでもないことになります。
元気が出る映画を探している方には、お勧めしません。
この『カッコーの巣の上で』を思い出しました。
視線の先には何があるの?この後どうなるの?と焦らされるシーンや、独特な表現方法、気になる演出がたくさん盛り込まれていました。
↓まとめて書いてます。
只今、家族について考えさせられる作品を観るのがマイブームです。
両親のリコンで10日で家を行ったり来たりする6歳の少女を通して見える家族のあり方・問題が、見ている側の心にグイグイ訴えかけてくる作品です。
→映画『メイジーの瞳』について書いた記事はこちら
気になる登場人物
おまけ
※内容に触れていますので、知りたくない方は飛ばしてください。
言葉で夫を怒らせ、興奮させた結果、「夫に殺されかけた」という状況にしてしまったディアドラ。自分から事を荒立ていくシーンは、何とも目を塞ぎたくなる光景でした。
そんな時に、自分の気持ちに共感し、才能を信じ、夢を応援してくれる人、しかもそれが医師だとしたら信じますよね。
ブライアン・コックスさん演じるフィンチ医師は、一見、気の良さそうなおじいさんで、見た目ではまったく分かりません。
人間の隙をつくのがうまく、ディアドラの気持ちに徐々に入り込んでいく技は、何とも言えない嫌~な感じです。
それこそがフィンチ医師やり方だ!
彼を信頼し、その言葉を鵜呑みにし、クスリに頼って、気持ちが更に不安定になっていくという流れは、もう誰にも止めることができません。
これぞ、洗脳です。
そんな精神状態になっても、詩人として有名になることだけは信じて疑わない精神力には、言葉が出ません。結果、小さな雑誌に掲載されたということですが、果たして彼女にとっては幸せだったのでしょうか?考えさせられます。
反対に、もう一人の母親、医師の妻アグネスは、オーガステンと話すことで「必死で家庭を守ってきたこと」「家庭が夢だ」ということに気付き、オーグステンのように、このままでは良くないと、今ある現状、夫の洗脳から抜け出せた方。
こっそり貯めたそのお金を差し出した彼女の行動は、何とも考え深いモノがありました。
自分は、家族という「夢」に立ち向かうことを決意し、同時にオーガステンの「夢」も応援するというWプレイを華麗に決めて見せた彼女。
「まずはツリーを片付けるわ」という言葉に、彼女の未来が開けた気がしました。
気になる演出
1.フィンチ医師の診療のシーン(母と父が話していたら次の瞬間、息子に入れ替わっている)
2.母がキレイな雪を浴びながらくるくる回り出したと思ったら、気を病み過ぎて見えてしまった幻覚だったシーン
おっと思わせられるシーンが随所に散りばめられていました。
3.天井を壊すシーン(訳も分からずスローになる。天井は一部分削られただけで拍子抜けさせられました。)
4.それぞれの場所でみんな一斉に叫び出すシーン(BGMに乗せてドラマティックな雰囲気風だったので、少々冷めてしまいました。)
心に残る台詞
☆リコンしないのは 今のままが快適だからだ
☆夢を持つのよ 苦難を乗り越えられる
☆パパは大型客船よ パパが沈めば家族や患者も沈む
☆規則や境界線が欲しい
☆人生に一度くらい 賢く投資したい
印象的なシーン
☆フィンチ医師の家
☆ホープがナタリーに料理の味見をさせるシーン
↑ゾッとした…冗談も言う人によって冗談にはなりません
☆お庭に並べられた食器のシーン
観てよかったか?
5点 大変良かった!
4点 良かった
3点 ふつう
2点 ん~~~
1点 所々寝た(とばした)
0点 見るのを止めた
もう一度観たいか?
5点 もう何度も観てる
4点 観たい
3点 観るかも
2点 何とも言えない
1点 できれば他の作品を
0点 記憶から末梢したい…
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ブー子