8点『ル・アーヴルの靴みがき』優しさはキセキを起こす

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2011年
フィンランド・フランス・ドイツ合作 
原題:Le Havre
本編:約93分

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あらすじ

ノルマンディー地方の港町ル・アーブル。靴みがきで生計を立てながら、妻と2人で質素に暮らしていたマルセル・マルクルは、ある日、コンテナの中から逃げてきた不法移民の男の子イドリッサと偶然に出会う。一方、医師から余命宣告を受けた妻は夫に理由を打ち明けないまま入院することに…。

感想

人の優しさがホッと温かい気持ちにさせてくれる作品です。

監督・脚本・プロデューサーは、庶民の慎ましい生活や人間模様をキメ細やかに描くことで名高いアキ・アウリスマキさん。

冒頭で唐突に事件が起こったり、リトル・ボブという、ル・アーヴル出身のミュージシャンが歌うシーンに「なんだこりゃ?」と集中が途切れたりもしましたが感情の抑揚を感じさせないセリフ回しや演技が不自然に自然な独特な雰囲気が、小津安二郎監督の描く世界観のようで、その魅力にどんどん引きこまれていきました。

一見マルセルは、お店の支払いをしない近所で迷惑をかける、酒とタバコが好きなおじいちゃんで、妻のアルレッティともあまり多くは語らず、互いを想い合っているのか、表面上だけの冷めた夫婦なのか分かりません

けれどコンテナから逃げ出した見ず知らずの違法移民の少年イドリッサと出会ったあたりから、主人公マルセルの人の良さがじわじわと溢れ出し始め、周りにいる人々までもが当たり前のように彼に協力していく…、ところどころ流れる、ドラマティックなBGMに合わせ、そんな人間関係がとても素敵に表現されています

原題は[Le Havre]といって、映画の舞台になっているセーヌ川河口に近い港湾都市の名前ですが、その他にも避難所や、隠れ家という意味が込められていることに気が付かされます。

不法移民という政治問題あり、『レ・ミゼラブル』のような、法律と良心の間で揺れ動く警官との駆け引きありの、DVDのパッケージに”最高のハッピー・エンディング映画”と絶賛されているこの作品に、すっかり心癒されました。

主な受賞
2011年カンヌ国際映画祭国際批評家協会賞、エキュメニック賞スペシャル・メンション、パルム・ドッグ審査員特別賞
2011年シカゴ国際映画祭グランプリ
2011年ルイ・デリック賞作品賞
2012年ロッテルダム国際映画祭特別招待

この映画で学んだこと
見た目や言葉遣いは身を助ける

おまけ

※内容に触れていますので、知りたくない方は飛ばしてください。
マルセルの魅力に学ぼう『大切な人間力』
・追われているイドリッサがあまり人目に触れないよう、家の中で待っていてと言ったのに、帰りを待ちきれず外で待っていた彼を見つけた時に、叱るも一瞬、相手の気持ちを察し優しく話ができる。
・彼をかくまっている日でも、いつもと変わらず外に仕事に行ける。
・不器用だけど、妻に頼まれた洋服を包んで持っていこうとする気遣いができる。
・お見舞いにお花を欠かさない。
・自分が正しいと感じたものは、信じて行動を起こす。

そんな彼を影で支える妻の何気ない行動勉強になります
・決して多いとは言えない収入を受け取り、夕食前に飲んできてと飲み代を渡し、残りは家貯金。
→後に、マルセルがイドリッサを助けるためのお金の足しに使ってます。直接相談されてなくても、きっとこういう時のためのお金でアルレッティはきっと何も言わないことでしょう。
・病気は気持ちで治す!夫は心配させられない、だから言わないと決めた覚悟は、芯の強さを感じます。
・夫が寝た後にアイロンがけ。終わった後にソッと夫の胸ポケットに入っていたタバコで一服する姿も憎めません。

心に残る台詞

☆なぜ周囲が善悪を決めつけるの?
☆泣くだけ損だ

印象的なシーン

☆リトル・ボブのライブ
DVDの特典映像でノーカットで収録されてます
☆病室で妻がお化粧して主人を待つシーン
☆ミミとロベルトが仲直りするシーン


観てよかったか?
5点 大変良かった!
4点 良かった
3点 ふつう
2点 ん~~~
1点 所々寝た(とばした)
0点 見るのを止めた


もう一度観たいか?
5点 もう何度も観てる
4点 観たい
3点 観るかも
2点 何とも言えない
1点 できれば他の作品を
0点 記憶から末梢したい…

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