2012年, 日本, 96分
やさしい絵の中にはすべての子どもへの愛が込められている…
知人の証言によって綴られたドキュメンタリー作品。
気になる劇中曲
『私を泣かせてください』
キーワード
☆いわさきちひろ
☆絵
☆戦争
感想
淡い色彩で描かれる小さな女の子や花の絵が印象的な絵本画家、いわさきちひろさん。
日本だけでなく世界中に愛されているという絵は知っていても、彼女自身についてはあまり知られていません。
そんな彼女について、『窓際のトットちゃん』の作者であり、「いわさきちひろ美術館」の館長でもある黒柳徹子さんをはじめ、ご友人やご家族の話から、ちひろさんが生前に抱いていた思いや、作品に込められた気持ちを知れました。
3姉妹の長女として大切に育てられるも、親の言う通りに過ごすことにわだかまりを感じ、結婚と離婚を経験。
戦争に前向きな親に違和感を感じつつ、その戦争で全てを失った27歳の時。
いくつもの挫折を味わいながらも自分の気持ちにまっすぐに生き、生活が苦しくなることが分かっていても、絵で生きていくという決意は変わらないという彼女の強さに驚かされます。
あのふわっとしたやさしい絵から想像もしませんでした。
27歳から10年で絵本画家としての人生が始まり、自分らしさを求めるために晩年まで自分の絵を追求し、55歳で生涯の幕を閉じた彼女の作品たち。
インクが滲んだような輪郭のあいまいなやさしい絵のひとつひとつには、いつも自分の子どもを描いていたというご自身の子への愛で溢れています。
そんな彼女の人生と、戦後の東京で反戦運動のポスターを描くことで感じた「自分の書や描く絵が人の心につながり、動かすこと」を生涯信じ、いつでも全力投球でやりきってきた、人一倍信じこむ力も強かった彼女の姿に心打たれました。
「すべての子どもの幸せのために…」
「まだまだ絵を描き続けたい」と言ってこの世を後にした彼女の残した絵本を、また読んでみたくなりました。
エグゼクティブ・プロデューサーは山田洋次さん。
ところどころある、子どもが絵本を読む声に心が和ませてくれます。
エンディングロールで映しだされた、たくさんの子どもの写真一枚一枚がちひろさんの描く絵に変わって見えるようでした。
当時の写真やちひろさんのたくさん作品がじっくり見られる、素敵な1本です。
「この まったく勇ましくもない 私の持って生まれた仕事は 絵を描くことなのだ
たくましい人を奮い立たせるような油絵ではなくて ささやかな 絵本の絵描きなのである
その やさしい絵本を見た子どもが 大きくなっても忘れずに 心のどこかに留めておいてくれて 何か人生の悲しい時や 絶望的になった時に その絵本のやさしい世界を ちょっとでも思い出して 心を慰めてくれたらと思う
それが 私のいろんな方々への お礼であり 生きがいだと思っている」（DVD 1:32:25より）
活動
☆新聞の挿絵や、広告の絵（ヒゲタ冷やし中華のスープ・ヨーグルト・伊勢丹）などを描く。
絵本画家としてデビューした当初の作品なども見られます。
☆毎年、絵本の挿絵でアンデルセンの作品を描いていた。
「アンデルセンは神を信じていた人ですが、神の力ではどうにもならない人の不幸をリアルに描きだしているところがおもしろいと思います」（DVDより）
☆「絵の著作権・権利を主張」
挿絵は独立した芸術。出版社に原画の返却を求めたり、絵描きの権利を主張したり抗議を行い、作品は画家のものだと訴えた。
↑
弁護士の夫と共にイラストレーターの地位と権利を守った人でもあったのですね。
心に残る台詞
☆戦争が終わって戦争のことを知る
☆君は茨の道をあるいてくれる 愛情と悲しさと感謝とごっちゃになった 君の肩の荷を下ろさせる希望を持つ
☆私のできる唯一のやり方だから
本編で紹介された作品
☆『あめの ひの おるすばん』
水を紙にたっぷり含ませ、乾く前にインクを垂らしてできる偶然の風合いを使って描かれる「にじみ」という水墨画の技法を発展させたもので描いている。
「物語絵本が主流だった時代に感じる絵本という新たな扉を開いた作品」（DVDより）
☆『戦火のなかの子どもたち』
ベトナム戦争と自身の戦争体験を合わせ思いながら、詩のような言葉とともに描かれた絵本。50枚の原画から19枚に厳選してつくられた。
観てよかったか？
５点 大変良かった！
４点 良かった
３点 ふつう
２点 ん～～～
１点 所々寝た（とばした）
０点 見るのを止めた
もう一度観たいか？
５点 もう何度も観てる
４点 観たい
３点 観るかも
２点 何とも言えない
１点 できれば他の作品を
０点 記憶から末梢したい…
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ブー子