2013年, アメリカ, 99分
言葉だけではダメなんです。
家族のあり方、学べます。
キーワード
☆結婚・離婚・再婚
☆家族とは
☆親・大人の責任
☆子どもの立場
気になる劇中曲
母がメイジーに歌う子守唄↓
♪『眠れ 赤ちゃん 木のてっぺんで 風が吹けば ゆりかごが揺れる 枝が折れれば ゆりかごが落ちる 赤ちゃんも一緒に 落ちてしまう』
ジュリアン・ムーア(Julianne Moore)さんが歌う『RockaBye Baby』
感想
dTVのコンテンツ画像の子どもの眼差しが印象的で、ずーーーっと気になっていた作品をやっと観ました。
舞台はニューヨーク。
両親の離婚により、互いの家を10日で行ったり来たりする生活をするようになった6歳のメイジー(オナタ・アプリールさん)。アートディーラーのお父さん・ビール(スティーブ・クーガンさん)の新居では、今までベビーシッターだったマーゴ(ジョアンナ・ヴァンダーハムさん)も一緒に暮らし始め、有名なシンガーでお母さんのスザンナ(ジュリアン・ムーアさん)の家では、若くてかっこいいバーテンダーのリンカーン(アレキサンダー・スカルスガルドさん)がお父さんになりました。実の両親は仕事が忙しくなり、メイジーはどちらの家でも、新しいお父さんとお母さんと過ごす時間が多くなっていきます…。
「なんて親なの」と思うのは他人の考えで、幼いメイジーにしてみたら、大好きなお父さんとお母さん。初めのうちは、親に代わりはいないということが、随所で伝わってきます。
2つの家を行ったり来たりするようになっても、かまってもらおうと駄々をこねるでもなく、ワガママを言うでもなく、ただ言われるがままに流されるように過ごすメイジーの姿は、深く考え(られ)ないことは、幸せなことなのかもしれないとすら思えてしまう程です。
幼い少女・メイジーの瞳には何が映っていたでしょう?
そこには、両親の身勝手な行動に振り回される、若い再婚相手のマーゴとリンカーンの姿がありました。
↓内容と一緒に詳しく書いてます。
幼い子どもにとって、親の言う事は絶対で、親の世界が、子どもの当たり前の世界。
しかし、6歳の子どもでも、考えてます。
原題『what maisie knew 』
直訳すると「メイジーが知ったこと」でしょうか。
大人たちの言動を一番近くで見て・聞いている子どもは、何でもお見通しなのかもしれません。
メイジー役のオナタ・アプリールさんの、悲壮感漂う表情や「か細いカラダ」が、セリフ以上に胸に突き刺さってきました。
後半、母を前に無言で訴えかけるメイジーの瞳がとても印象的な、家族のあり方を深く考えさせてくれる作品です。
おまけ
※内容に触れていますので、知りたくない方は飛ばしてください。
メイジー
大きな家に住んでいて、かわいい洋服やおもちゃをいっぱい持っていても、彼女はいつもどこか寂しそうです。
彼女にとったら、両親が忙しかったり、ケンカしたりするのは当たり前で、よく分からないまま、2つの家を行ったり来たりするようになり、もう一人ずつお父さんとお母さんができただけなのかもしれません。
相手側の生活を聞かれたら素直に答え、いない所で相手の嫌なところを黙って聞く。
そんな彼女でも、お母さんから贈られてきた花束を、お父さんが黙って捨てた時、こっそり拾ってクローゼットに隠すのです。それをマーゴに見つけられた時に、また捨てられないようにと知っている限りの知識で嘘をつき守ろうとする姿に、彼女なりの気持ちがしっかりあるということに気付かされます。
どんな環境でも、子どもは成長しているんです。
スザンナとビール
ロックの世界で成功したシンガー・スザンナ。
娘の前で夫のことを「役に立ってほしいだけ」「あなたのパパは最低」「あなたに子どもの世話は無理」と言い、共同親権という判決に納得いかず、親権を独り占めにしようとしてるけど、実際は仕事優先で娘の世話は他人任せ。「なぜ私は惨めな思いをしなければいけないの?」と嘆く姿に、惨めにしているのは自分自身なんだということが、手に取るように分かります。
一方ビールは、仕事で海外を飛び回り、あまり帰ってきません。
いつでも夜遅くに帰ってきて、外で何をしているか分からないような感じです。家族をほったらかすのは癖でしょうか。
好きになった(はずの)男女が家族になり、別れ、再び新たな出会いで好きになった新しい男女が家族になる。
一緒に暮らし始め…ず、籍を入れるだけで、娘の面倒を見させるだけというのも、家族のカタチなのでしょうか。
もうすでに存在している娘は、まるでモノのように行ったり来たり。互いに、自分を頼ってくれて、口ごたえしない、思い通りになるペットのような存在が欲しいだけな2人です。
涙
メイジーは一度だけ涙を見せるシーンがあります。
それは、知っている人がいない、知らない場所で夜を明かさなければいけないベッドの上でした。
そのシーンは、友達のゾーイがお母さんの家にお泊りに来た時と重なります。
夜遅くまで一緒に楽しく遊びまわっていたのに、スザンナが仲間と大音量でライブ映像を見ている光景を見て、その家の異様な雰囲気に不安になり、涙が止まらなくなるのです。その後、お父さんに迎えに来てもらう彼女は、明らかに養子ですが、お母さんにもお父さんにも大切にされている様子が伝わってきました。
しかしメイジーは、助けに来てくれる人がいません。この対照的なシーンに、もう出る言葉がありません。
ごまかし
「6番目にお気に入りの女の子」
父が冗談のようにメイジーに言った言葉です。
もちろん他の5人は内緒だと言うけど…、この両親がメイジーに言う言葉は、全て今をごまかすための言葉に聞こえます。
「I love you」「あなたはとっても大事」「会いたかった」
スザンナが言う言葉は、それすら、嘘なのではないかとすら思えてしまいます。
ごまかしという魔法が効かなくなった時、子どもとの関係は、どうなるのでしょうか?
考えさせられます。
マーゴとリンカーン
両親が、娘を見てもらえる「都合のいい人」として選んだ再婚相手。
この2人もある意味、ビールとスザンナの犠牲者です。
マーゴはメイジーの元ベビーシッターで、初めは、なんて人なんだと思わせられましたが、メイジーと接していく姿に、そんな思いはどこへやら。夫であるビールだけでなく元妻のスザンナにも翻弄されながらも、メイジーのことを心配する姿に感動してしまいました。
リンカーンは、出会ったばかりのメイジーと仲良くなろうと、スザンナのレコーディングスタジオで待っている間、一緒にお絵かきをします。その楽しそうにしている姿にスザンナは嫉妬し、「娘に取り入ってる」とか、「あなたに預けられない」と言うのです。
その後スザンナとは、言い合いが耐えない関係になっていきますが、彼もまたメイジーのことを大切に思う一人になっていくのです。
メイジーと全く関係のなかった若い2人の姿を通し、「家族として」「親や大人の責任」という理屈を抜きに、相手を思いやることが家族なんだということに気付かされます。
行動に出たのはマーゴ
夫が帰ってこない家に居続けることや、今ある生活に疑問を持ち、いとこが所有する売り出し中の別荘にメイジーを連れてやってきたマーゴ。
この先がはどうなるか分からないという未来だけど、行動に移したマーゴの姿は、感慨深いものがありました。
後にリンカーンも訪れるその別荘に、大きなツアーバスで我が物顔で現れたスザンナに、初めて自分の要求を伝えるメイジー。
その様子を遠くから見守る2人の姿にも胸を打たれます。
随所に描かれる、メイジーとマーゴとリンカーンが過ごす穏やかな時間。
家族のあり方とは、こういうものなのかもしれないと思わせられました。
心に残る台詞
☆OK
↑何にも言いたいことがない、問題はないという意味だけではありません
☆「家が売れたら 私たちは?」「まだ先のことよ」「新しい家に行ったらどうする?」「知らせるの」「みんなに?」「新しい居場所を教えるの」
印象的なシーン
☆学校に迎えがなかなか来ないシーン
☆メイジーが病気になったシーン
☆メイジーをマーゴから無言で引き取りツアーバスでリンカーンに預けるシーン
☆リンカーンとマーゴとメイジーが心の距離を縮めていく様々なシーン
☆横断歩道でスザンナが怒るシーン
☆メイジーがリンカーンのいないレストランで一人でいるシーン
観てよかったか?
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4点 良かった
3点 ふつう
2点 ん~~~
1点 所々寝た(とばした)
0点 見るのを止めた
もう一度観たいか?
5点 もう何度も観てる
4点 観たい
3点 観るかも
2点 何とも言えない
1点 できれば他の作品を
0点 記憶から末梢したい…
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ブー子